別館第一倉庫

本館からロッキード裁判に関するものを移設しました。

続:ロッキード裁判を振り返る(その26)『渡部昇一の意味不明な発言について』

 「れんだいこ」氏のHPを見たことがきっかけで始まったこのシリーズ。
 論点とまでは言えない内容に関するやり取りについて紹介している4回目ですが、今回は、渡部昇一の意味不明な発言を取り上げます。

 渡部昇一は、専門家の言葉を引用しながら自説を語る場合はそうでもありませんが、オリジナルの自説を語ろうとすると、時々、意味不明なことを言い出します。
 例えば、『幕間ピエロ番外』第1回で、日本の裁判所が反対尋問権を無視、軽視したと主張した渡部昇一は、その理由としてこう書いています。

 嘱託尋問が反対尋問の代わりになる、というような規定はないのだから、法律の明文にないことをやるためのいろいろな口実を考え出して裁判は行われたのである。刑事訴訟法の明文にないことを、拡張解釈で有罪にすることについては、検事と弁護士のやりとりがあり、裁判官は検事側の言い分にほぼ同調した判決を下した。

 これについて、立花隆は「『嘱託尋問が反対尋問の代わりになる』などということはあるはずがないし、『法律の明文にないことをやるためのいろいろな口実を考え出して裁判は行われた』などということもあるはずがない。この文章は全く訳がわからない」と呆れています。

 また、『幕間ピエロ番外』第3回で、渡部昇一は、立花隆には「刑事裁判における反対尋問の不可欠性」が意識にはないようだと述べた後に、こう書いています。

 では「反対尋問」と「嘱託尋問」がどちらが根本的か。これは問題なく反対尋問の方が刑事裁判においては根本的である。

 これについて、立花隆は「反対尋問と嘱託尋問は全くカテゴリーを異にする概念であって、二つならべて『どちらが根本的か』という問いを発すること自体無意味である」と、ここでも呆れています。

 この他、「続:ロッキード裁判を振り返る(その20)『立花隆から渡部昇一への質問8』」の「感想」で取り上げた「検察官が裁判官に、公判の前に証人尋問するためのものである」という意味のわからない文を書いたことも含めて、渡部昇一は、法律用語の概念を理解せずに、裁判批判を展開しているように思いますが、ご本人にその辺りの自覚はあったんでしょうか。
 まっ、無かったでしょうね。

 それでは、また次回。


※ 有名な方は基本的に敬称略になっています。

 

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