別館第一倉庫

本館からロッキード裁判に関するものを移設しました。

続:ロッキード裁判を振り返る(その34)『最後に』

 「れんだいこ」氏のHPを見たことがきっかけで始まったこのシリーズ。
 最後に、私の感想らしきものを書いて終わりにしたいと思います。

 『諸君!』の1984年9月号に田中裁判論争に関する識者アンケートの結果が載っていました。アンケートというより感想を述べてもらったというほうが正確かもしれません。

 アンケート実施時点で既に発表されていたのが、渡部昇一サイドでは、当人の『暗黒裁判論』『七ヵ条』『違憲合法だ』『英語教師の見た』、それから、石島弁護士の『司法の自殺論』、井上教授(当時)の『主権の放棄論』、匿名法律家による座談会『検察の論理を排す』などです。
 一方の立花隆サイドでは、当人の『俗論を排す』と『大反論』が主なものです。

 このアンケートでは、渡部・立花論争にも登場した林修三や小室直樹など14人が意見を述べていますが、そのほとんどが田中角栄冤罪論に賛意を示す立場でした。
 アンケート対象が、渡部昇一同様、版元は違うものの『諸君!』と親和性の高い産経文化人ばかりでしたが、これは「案の定」と言ったほうがいいのか、おそらく渡部昇一の書いたものしか読んでいないだろうと思われる意見が数多くありました。

 また、共産党と関係の深かった石島弁護士が党の意向に従わずに田中角栄弁護の陣を張ったこと高く評価する意見も見受けられました。さすが産経文化人、というところでしょうか。

 いずれにせよ、どれも裁判本体を追ったうえでの意見とはいえないものばかり。
 その程度の知識で何かもっともらしいことを語ろうとする態度に薄っぺらさを感じましたが、彼らが寄って立つ渡部昇一自体、法曹専門家の意見を右から左へ紹介しているだけのようなものですから、その亜流が薄っぺらくなるのも仕方ないのかもしれません。そして、それは「れんだいこ」氏にもいえることです。

 「ロッキード裁判を振り返る」で取り上げた岸田コラムについては3回で終わったので、「れんだいこ」氏のHPを取り上げたこの「続:ロッキード裁判を振り返る」も、せいぜい5~6回で終わると思っていたんですが、始めてみると、かなり根元から掘り返して話を持って来ないと理解されそうもないと思い、あれこれやっているうちに34回になってしまいました。

 これで、渡部・立花論争については、ある程度秩序立てて説明ができたと思っていますが、ここまで読んで、まだ渡部昇一が論争に勝ったという人がいたら、それはもう、私の手に負えるところではありません。

 ロッキード裁判については、これで終わります。
 また別のテーマが見つかれば、この「倉庫」に格納しにやって来るかもしれませんが、それはまだ、先の話として、今回のところはここで区切りをつけることにします。
 ひとつのテーマについて、1ヵ月以上もお付き合いをいただき、ありがとうございました。


※ 有名な方は基本的に敬称略になっています。

 

にほんブログ村 政治ブログ 政治評論へ
にほんブログ村