続:ロッキード裁判を振り返る(その19)『立花隆から渡部昇一への質問7』
「れんだいこ」氏のHPを見たことがきっかけで始まったこのシリーズ。渡部昇一と立花隆が朝日ジャーナル誌上で直接対決した「幕間のピエロ番外」を取り上げる10回目です。
今回から、立花隆が「番外」の第八回で渡部昇一に投げかけた44の質問のうち、質問番号が[52]から[59]までの8問を取り上げます。
主に、嘱託尋問調書の内容把握に関する質問です。
これまでと同じく、番号で質問を表示し、その後に渡部の回答、それに対する立花側の反論があれば、それも一緒に対話形式で載せました。質問番号は通し番号になっています。また、これまで同様に立花側の発言は質問も含めて青字、渡部側の発言は赤字で表示しました。
さらに、これもこれまでと同じく、わかりやすい対話形式にするために、両者の雑誌上での発言を簡略化していることをお断りしておきます。
【立花→渡部7】
[52]これを書いた時点で、渡部氏が嘱託尋問調書を読んでいなかったことは明白だと思われるがいかがか。
渡部「[47]に対する答えを参照」
[53]これを書いた時点で、渡部氏は五億円の金の流れが裁判の中でどう問題にされてきたのかを全く知らなかったと思われるがいかがか。
渡部「[47]に対する答えを参照」
[54]実際の裁判において金の流れがどう審理されたかも知らずに、「裁判では金の流れが問題にされなかった」として裁判を批判するのは、頭がおかしいのではないかと思われるがいかがか。
渡部「[47]に対する答えを参照」
[55]渡部氏がクラッターから聞くべきことは何も聞いていないと主張し、私は聞くべきことは聞いてあると主張し、その証明としてクラッター証言が引用されたのではなかったか。
渡部「[47]に対する答えを参照」
[56]自分の主張が反論されるとあわてて、クラッター証言の抹殺を主張するのは、ゴマカシというべきではないのか。
渡部「私ははじめから反対尋問にさらされない証言を証拠にすることは暗黒裁判に通ずるという趣旨の発言をしてきている」
[57]巨額の現金がロッキード東京支社にいかに搬入され、いかに蓄積されていたかは、たとえ嘱託尋問のクラッター証言の証拠能力が否定されたとしても、田中弁護団が提出したニューマン報告書などの証拠によって裏付けられるということをご存知か。
渡部「[47]を参照。金の流れが文句なく確定できたのなら控訴はなかったろう」
[58]『暗黒裁判論』において渡部氏がクラッターに聞くべきことを聞かなかったので五億円の金の流れがわからなくなったと主張したのは、文章のコンテクストからいって、「肝心かなめの反対尋問をやらないで裁判を続けたから、核心に迫ることはほとんどなく、大部分はだらだらと検察官調書の任意性や信用性を争ったり、末梢的な証言の積み重ねをやって六年の月日を過ごしたのである」という結論を導くためであったと思われるがいかがか。
渡部「[47]に対する答えを参照」
[59]この結論部分が全くの誤りであることはすでに連載の中で詳細に指摘したが、その誤りは認められるのか。
渡部「認めるわけがない。[47]の答えを参照」
<感想>
渡部昇一が嘱託尋問調書を読んでないのは確実のようです。裁判官は読むべきでないと主張しているくらいですから、当然かもしれません。ロッキード裁判批判派は他にもいますが、こんな人とひと括りにされるのは迷惑だろうな、と思います。
では、今日はここまで、続きは次回にします。
※ 有名な方は基本的に敬称略になっています。