別館第一倉庫

本館からロッキード裁判に関するものを移設しました。

続:ロッキード裁判を振り返る(その22)『立花隆から渡部昇一への質問10』

 「れんだいこ」氏のHPを見たことがきっかけで始まったこのシリーズ。渡部昇一立花隆朝日ジャーナル誌上で直接対決した「幕間のピエロ番外」を取り上げる13回目です。
 今回から、立花隆が「番外」の第八回で渡部昇一に投げかけた44の質問のうち、質問番号が[74]から最後の[79]までの6問を取り上げます。
 ここでも主に、別件逮捕について尋ねていますが、最後の2問は、質問というより立花隆の「呆れ」の表明のようなものだと思います。
 
 これまでと同じく、番号で質問を表示し、その後に渡部の回答、それに対する立花側の反論があれば、それも一緒に対話形式で載せました。質問番号は通し番号になっています。また、これまで同様に立花側の発言は質問も含めて青字渡部側の発言は赤字で表示しました。
 さらに、これもこれまでと同じく、わかりやすい対話形式にするために、両者の雑誌上での発言を簡略化していることをお断りしておきます。

【立花→渡部10】
[74]外為法違反による田中逮捕が、別件逮捕ではなく、本件逮捕であることは、田中が外為法違反でも起訴されているのだから、疑う余地がないと思うがいかがか。

渡部「外為法をそのように使うことをまさに別件逮捕の例と呼んだのである」

[75]渡部氏の「死に法」論は、田中が起訴事実の通りの行為をしていたとしても、田中を訴追すべきでないということなのか。

渡部「適法手続きによって証明されたものでなければ犯罪自体は裁判上存在しない、ということがわかっていない愚問である」

[76]渡部氏の議論は、どう考えても連載16回を読むのを忘れているのではないかと思われるがいかがか。

渡部「[36]の答えを参照」

[77]渡部氏は、私が「別件逮捕」に対する答えを避けているとか、肝心の問いには答えていないなどといい、「[9]立花氏は『別件逮捕』をよしとされるか」などという設問を付け加えれておられるが、連載16回に『こういった別件逮捕[三億円事件のような本当の別件逮捕]が不当逮捕、違法逮捕の責めを免れないことはいうまでもでもない。そして、こうした別件逮捕を日本の警察がかなりしばしば行うという現実が批判されねばならないことも当然である』とはっきり書かれているではないか。いったい渡部氏はどこに目を付けているのか。

渡部「立花氏は今回の裁判が異例なものであることを認めているが、この点でも、角栄被告なら別件逮捕でもよいということなのか。日本の商社から日本の政治家へ来た金なら政治献金か贈賄に決まっている。丸紅から金が万が一行ったとしても、外為法で逮捕するのは別件逮捕以外の何物でもない」

[78]はっきり申し上げて、あなたは頭がおかしいのではないか。

渡部「アッハハハハハ」

[79]ここで渡部氏が逃げ出したら、日本の言論史上希代のデタラメ男が、ついに言い抜けに窮したあげく遁走したと私は満天下に公言するが、それでよろしいか。

渡部「私は立花氏の79の質問を受けたが、返事に苦しんだものは一つもない。むしろ愚問の多いことに驚いている。また、角栄裁判批判で問題になった中心点について、ほとんど理解しておられないのではないか、という疑念がしばしば頭に浮かんだ。私が立花氏に示した質問は14である。そのうち[1]と[2]は[1´]と[2´]に移行したので、まだほとんど答えてもらっていないのである。あえて言えば、私の数少ない、しかも答えやすい質問に答えるのに窮した立花氏が、あわてて79個の愚問を並べ立てたにすぎないのではないか。いずれにせよ、私がこの連載をやめるのは、気がついて見ると第二審の実質的審議が始まる時期だからである」


<感想>
 最後の[78]と[79]は御愛嬌として、別件逮捕については、いくら立花隆が根拠を示して別件逮捕ではないと説明しても、渡部昇一はその説明に対する具体的な反論はせず、ただただ別件逮捕であるという主張を繰り返すだけなのは、他の論点と同様です。
 糠に釘、暖簾に腕押しで、立花隆がイラついて[78]や[79]のような質問をぶつけたくなる気持ちがわかります。

 
 以上が、朝日ジャーナルに連載された「幕間のピエロ」の番外編での両者直接対決の様子です。
 この後は、これまで論点ごとに対話形式で示した両者のやり取りと直接対決の様子以外で、そこから抜け落ちたものを幾つか拾って、お示ししようと思っていますが、それは次回ということで、今日はここまでにしておきます。


※ 有名な方は基本的に敬称略になっています。

 

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