別館第一倉庫

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続:ロッキード裁判を振り返る(その9)『論点8:外為法での逮捕は別件逮捕ではないかについて』

 「れんだいこ」氏のHPを見たことがきっかけで始まった、渡部・立花論争内容をわかりやすく対話形式に直してお送りするシリーズ。今日は「論点8:外為法での逮捕は別件逮捕ではないかについて」です。
 これまで同様、区別しやすいように渡部発言を赤字立花発言を青字にしました。また、わかりやすい対話形式にするために、両者の雑誌上での発言を簡略化していることをお断りしておきます。

[論点8] 外為法での逮捕は別件逮捕ではないかについて

渡部「田中被告は外為法という「死に法」で逮捕された。立花氏はこうした別件逮捕をよしとするのか」

立花「秦野章議員が1976年8月の参議院ロッキード問題特別委員会で外為法の運用情況を尋ねたところ、前年に検挙送検された外為法違反事件は534件で240人、そのうち身柄拘束したのは90件で34人、また、63人については公判請求されているという答えが返ってきた。さらに、その中身を見ると、ロッキード事件より金額的なスケールは小さいのに逮捕拘留されている事案が複数あることもわかり、『死に法』でないことが明らかにされた。外為法による逮捕は別件でなく本件である」


<感想>
 こうやって、まとめると簡単になってしまいましたが、実際の別件逮捕に関する両者のやり取りは、もっと応酬があります。といっても、中身のある応酬ではなく、例によって相手の言い分を聞かずに自説を繰り返すという渡部昇一への対応に立花隆が苦慮しているというものです。結局、立花隆がどう返そうが、渡部昇一は「あなたは別件逮捕をよしとするのか」しか言わないようなものなんです。立花隆の言葉が乱暴になるのも理解できる気がします。

 以上で、「れんだいこ」氏のHPから抽出した8つの論点について、渡部・立花両氏の主張を対話形式で見てきました。
渡部昇一単純繰り返しの法則」に見られるように、「れんだいこ」氏が言うような「渡部立派、立花愚劣」という構図とは違った様子が明らかになったのではないかと思います。

ただ、この両者、より直接に対決した時がありました。
これまでの出典でも少し出てきたことがありましたが、朝日ジャーナル立花隆の連載に渡部昇一が反論を書かせてほしいと申し出たところ、朝日ジャーナル立花隆側がこれを受け入れ開始されたものです。

立花隆のもともとの連載が「幕間のピエロ」というタイトルだったため、この両者の直接対決は「幕間のピエロ番外」と名付けられ、朝日ジャーナル1985年8/30~11/3号まで連載されました。対決方式は、両者5回ずつ全10回にわたり、交互に意見を発表するというもの。先攻は渡部昇一、後攻は立花隆で、隔週で自分の意見を発表することになりました。

 これを見てもらうと、両者の主張がどう絡んでいるのか(というより、どう絡んでいないのか)が、よりハッキリわかると思います。
 というわけで、次回から「幕間のピエロ番外」での両者のやり取りを紹介したいと思います。
 
 今日はここまで、続きは次回にします。


※ 有名な方は基本的に敬称略になっています。
 また、今回の内容は「その2、論点整理」で紹介した渡部・立花両氏の発言媒体のうち、(9)立花「幕間ピエロ」、(10)渡部「借問す」をもとに構成しました。

 

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