続:ロッキード裁判を振り返る(その27)『法律知らずの開き直りについて』
「れんだいこ」氏のHPを見たことがきっかけで始まったこのシリーズ。
論点とまでは言えない内容に関するやり取りについて紹介している5回目ですが、今回は、渡部昇一の「開き直り」を取り上げます。
何についての「開き直り」かというと、今日のタイトルにあるように、法律を知らないことについての「開き直り」です。
なお、今回は渡部昇一と立花隆両方の発言を引用するので、引用部分を囲むだけでなく、以前のように渡部側を赤色の文字、立花側を青色の文字で表示します。
さて、渡部昇一の『英語力を疑う』の中には、立花隆の書いたものに対する次のような記述が並んでいます。
・うんざりするほど多量の法廷関係文書の引用で、読者がフォローできないようにしてから、結論のところだけ、日常語でわかり易く渡部の人格攻撃をする。
・本文はとにかくごたごた難しげな引用やら、専門的に見える表現が多い。
・本文の中で立花氏が法廷関係文章で紙面を埋め、渡部に対する個人攻撃だけは誰にもわかる言葉にしている。
・内容はちょっと読んでもわからない。
立花隆は、これを渡部昇一が立花の論旨を本当に理解できていないことの告白らしいとし、渡部昇一が、論破されたばかりの議論を、なぜバカの一つ覚えのように何度でも繰り返すのかという疑問に、自分が論破されたことをわからないから同じことを繰り返すという答えが得られたと皮肉を発しています。
それと、渡部昇一と立花隆はロッキード裁判をテーマに論争しているわけですから、法律の解釈が論点になるのは当然のはずですが、渡部昇一はそう思っていないようで、次のように言っています。
細かい法解釈の技術的なことは、高裁や最高裁において、検事側と弁護側がやりあえばよいことで、立花氏や私のような素人が深入りして専門家ぶることではない。(『幕間ピエロ番外』第1回)
もう呆れるしかない立花隆はこう返しています。
いかなるまともな裁判批判をとっても、証拠問題を論ずるにあたって、裁判所の出した証拠決定書の内容を検討することを怠ったり、「細かい法解釈」の問題ははじめから捨ておくなどという裁判批判があっただろうか。
しかし、渡部昇一は同様の発言を繰り返します。
・このような法律の細部について議論するのは検事と弁護士の役目であり、それを判定するのは裁判官の役目である。その法律問答の詳細を法廷文書からノリとハサミで切り抜いた引用をつけてやるのは、素人を対象とした雑誌などにはむかない。また普通の素人のやることではない。(『幕間ピエロ番外』第3回)
・立花氏が細かに分類してみせたような嘱託尋問関係の問題は、いずれも法技術的なものであり、そんなところに本当の問題があるのではない。(同上)
こういう人物を論争相手にしてしまった立花隆はホトホト困ったようで、こんな励ましのエールまで送っています。
渡部氏も、法律的議論は自分には難しすぎてわからないなどと、はじめからあきらめずに、ためしに一度裁判の傍聴にいらしてみてはいかがか。あなた程度の遭ためがあればわからないはずはないのである。
しかしそれにしても、渡部氏には、本気で嘱託尋問を論じたいのならば、もう少し勉強していただかねば困る。
法律を勉強する必要を感じていないようですから、まあ、勉強しませんわね。
そのくせ、法律を知らないので法律の素人と呼ばれると腹を立てるらしいので、一体、どういう考えの人なのか、サッパリわかりません。
この「法律の素人」云々については、次回取り上げます。
※ 有名な方は基本的に敬称略になっています。