別館第一倉庫

本館からロッキード裁判に関するものを移設しました。

続:ロッキード裁判を振り返る(その8)『論点7:クラッターが小佐野賢治に会って20万ドルを授受したmiddayという時間帯について』

 「れんだいこ」氏のHPを見たことがきっかけで始まった、渡部・立花論争内容をわかりやすく対話形式に直してお送りするシリーズ。今日は「論点7:クラッターが小佐野賢治に会って20万ドルを授受したmiddayという時間帯について」です。
 これまで同様、区別しやすいように渡部発言を赤字立花発言を青字にしました。また、わかりやすい対話形式にするために、両者の雑誌上での発言を簡略化していることをお断りしておきます。


[論点7]クラッターが小佐野賢治に会って20万ドルを授受したmiddayという時間帯について

渡部「小佐野氏が20万ドル受領した時間を、クラッタ―証人は『midday前後』としているのに、第一審は『午後4時半頃もmiddayのうち』と解釈して有罪を宣告した。小佐野側は控訴趣意書で『middayは午後4時半までは及ばない』と主張した。私は依頼を受け、鑑定証言者として高裁で『middayは真昼、daytimeは昼間と識別できるが、混同は許されない』と証言した。その後、知人にも『これで無罪にならなければ、裁判はインチキだということだ』と話した。
 しかし、控訴審判決(海老原裁判長)も一審と同じく有罪だった。判決理由を見てみると、middayについては『右供述は単なる記憶違いと見る余地がある』と書いてあった。
 第一審はmiddayを4時半まで不当拡張して有罪とした。第二審は拡張できないとわかったので、記憶違いとして有罪とした。つまりmiddayなどどうでもよく、小佐野氏の有罪は裁判の前から決まっていたのだ。有罪とした根拠が消滅したら、その件については無罪というのが常識である。しかしロッキード裁判では常識は通用しない。裁判官の強弁と推定と詭弁が通用するのである」

立花「middayの語義については渡部氏の言うとおりであり、控訴審判決でも、渡部証言を受けて検察訳の『昼間』は不正確だとし『真昼』に訂正されていた。
しかし、20万ドル授受に関する関係証人、関係物証は山ほどある。クラッター証言は詳細なもので『midday』の一語は、長文の証言記録の中でたびたび飛び出してきた一単語に過ぎない。判決ではそれら多数の証拠を詳細に検討して、授受があったと判断している。渡部氏のように他の証拠は投げ捨て、『midday』の一語にへばりついて『これで無罪にならなければ、裁判はインチキ』と主張するのは、それこそインチキである」


<感想>
 英単語の解釈のことが始まりなので、わかりやすいように両者の主張を長めに載せました。結論は、問題の英単語の解釈は渡部昇一の言うとおりだけれども、他の証拠も検討した結果、有罪になったということです。自分が鑑定証言者として法廷で証言したこともあって、渡部昇一はmiddayの語訳に非常に重みを置いて裁判を取られていたようですが、実際のところ、middayはそこまで重要な要素ではなかったということのようです。

 今日はここまで、続きは次回にします


※ 有名な方は基本的に敬称略になっています。
 また、今回の内容は「その2、論点整理」で紹介した渡部・立花両氏の発言媒体のうち、(5)渡部「英語教師の見た」、(9)立花「幕間ピエロ」をもとに構成しました。

 

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